『若い女性の肖像』アントニオ・デル・ポッライオーロ
数日前に上野の東京都美術館でやっている『フィレンツェ−−芸術都市の誕生展』に行って来た。
テーマはフィレンツェという都市であり、「このような建築物、絵画、彫刻、金工、織物、科学がありました」という紹介がコンセプトなので、歴史的興味を持っていないとあまり楽しめないかもしれない。私には知識がないので、今ひとつだった。予備知識もないのに見てしまったのは、散歩の終わりが上野だったから。
個々の作品という点では見どころはあまりない。ポスターに使われているアントニオ・デル・ポッライオーロの『若い女性の肖像』もよかったが、普通の美術展ならこれは小物だろう。ボッチチェリの『婦人の肖像』も悪くなかったけど、感銘というほどのものは受けなかった。ミケランジェロの小さなキリスト像もあった。いいんだけど、サイズからして小さい。とにかく「これは」という見どころにかける。
とはいえ、さすがに複数の分野からの出展なので飽きることもなかったし、「なるほどねえ」と教養のために見る価値はあるようだ。昔の絵画の塗り方や描写の仕方とか細かい部分での面白さはあったし、本の装丁、挿絵なども面白い。歴史を知らないものは細部を見ていくしかないし、そうやって見ていけば美的経験の蓄積にはなる。
ひとには薦めない。