2005年01月01日

時の旅人

懐中時計
photo by Cozy

Canon EOS Kiss Digital、Canon EF-S18-55mm F3.5-5.6 USMレンズキット

時の旅人と言えば、タイムマシーンに乗って別の時代に行くようなイメージだ。と同時にあの有名な言葉を思い出す。

月日は百代の過客(つきひははくたいのかかく)にして、行きかふ年もまた旅人なり。(月日は、永遠の旅人であり、来ては去る年もまた旅人である。)

松尾芭蕉(まつをはせを)の『おくのほそ道』(「奥の細道」と書くのは間違い)の冒頭の言葉だ。李白の漢詩『春夜、桃李園に宴するの序』からとっていることはつとに有名。オリジナルは「夫れ天地は万物の逆旅にして、光陰は百代の過客なり。而して浮生は夢の若し」。

逆旅は旅館のこと、光陰は月日のことだ。だから意味は「天地は万物の旅館であり、月日は永遠の旅人だ。」となる。それにたいして芭蕉の言葉は同じような意味の繰り返しでふくらみがない。李白の方がはるかに素晴らしい。なぜに芭蕉はこんなにつまらない改作をしたのか。そのあとに続く、人生は旅であるとする内容と意味的につながらない。どうにも無理やりな感じがしてしまう。

李白にしても、天地が不動であるかのような記述であり、現代人からすると腑に落ちない。万物が流転するならば天地も不動というわけにも行くまい。時は永遠に流れるけれど、万物は流転するとしたほうが私なんかは納得できて、すわりがいいように思う。

と、歴史上の巨人にたてつくところから今年をはじめてしまった。

これらの懐中時計は豊島区南長崎の不動産屋さんのショーウィンドウに飾ってあった。売り物ではなく主人の趣味のようだ。腕時計も多数あった。多くの時計を見ていると、いっぺんにたくさんの時間が流れていくような錯覚にとらわれる。

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この記事へのコメント
■投稿者:kazu-dog at 2005年01月01日 11:18
時の旅人・・か。
な〜るほど。
これが「中古時計店にて」とか「アンティーク時計」なんて題名ならそれほどでもないんだけど、「時の旅人」となると写真を見る眼が違ってきますね。
写真は心で見ると言うことか?
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■投稿者:Cozy at 2005年01月01日 18:15
キャプションやタイトルでだいぶイメージが変わりますね。
私は自分の写真には日時と場所だけでいいと思っているのですが、なにかタイトルをつけなきゃならないのが面倒です。で、いつもひねりもないのですけど。
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