2005年02月20日

書評:シングル化する日本

『シングル化する日本』(著者:伊田広行,出版社:洋泉社)

夫婦と子ども二人という家族像はもはや日本の平均的家族ではない。実際にはシングル化(非婚化)がどんどん進んでいる。その原因には結婚のメリットとデメリットについての変化があるが、本書はその理由をひとつにしぼらない。あくまでも多角的に語っている。そこが本書の地味さであり、誠実さでもある。

シングル化が進めば、当然社会の税制度も家族優遇からシングル単位の税制に変えなければならない。と同時に社会のあり方もシングル化に合わせて変わっていくべきだというのが本書の骨子である。

結婚しようがしまいが社会制度はすべてシングル単位で人間を見るべきだという。人間ひとりひとりを税金や社会福祉の対象にする。扶養家族がいるかどうかは関係ない。家族内での介護も当然視しない。誰と家族で誰と住んでいるかも関係ない。必要なことは社会が手助けすればいい。その方がよっぽど安心できる。それが著者の提言するシングル単位社会だ。

政治的にはアメリカ型新自由主義か北欧型社会民主主義かの選択を迫られる。当然、後者が選ばれるべきだと著者は言う。その実現にはワークシェアリング、短時間労働、男女差別の撤廃、福祉の充実などが重要になる。きちんと自分たちの生活が守られ、自分たちのために税金が使われるのならば、税負担の大きさに不満を持たないものだ。

私もそういう思想に近い。以前から読書感想の中でワークシェアリングを進めて社会全体がゆったり暮らす方向へ進むべきだとの意見を述べてきた。馬車馬みたいに働いて無駄に消費する社会がいい社会だとは思わない。それと家族主義の解体が結びつくとこのようなシングル単位社会になる。シングル単位という思想に大いに啓発された。

男の社会的責任としてバリバリ働いて家族を養って…という図式は同意できない。もっと多様であるべきだし、主流ではない生き方を選んでも行きにくくないような社会であるべきだろう。

地味な本だけど良書だと思う。

人気ブログを紹介してます。  click on blog ranking


この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/cozy_009/14699695
この記事へのコメント
■投稿者:スー at 2005年02月23日 02:23
興味深い書評でした、ありがとうございます。
--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--
■投稿者:Cozy at 2005年02月24日 12:39
楽しんでいただけて、幸いです。
--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--