2005年02月28日

「おたく:人格=空間=都市」への疑問

昨日のNHKのETVの新日曜美術館で「都市を変えるポップカルチャーOTAKU・おたく」と題して、ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館の展示を紹介していた。

ビエンナーレでのタイトルは「おたく:人格=空間=都市」。「おたく」がなんで建築なのかというと、秋葉原は街に集まる「おたく」に合わせて変貌したから、ということらしい。たしかに美少女モノをあつかう萌え系の店は増えているけど、べつに建築物はさほど変わっていないと思う。少し強引じゃないのか?

おたく:人格=空間=都市 ヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展-日本館 出展フィギュア付きカタログ


今回のビエンナーレでは一番話題になったし、評価も高かったそうだ。

それはそれとして、気なったのは「萌え」を「わび」「さび」と並ぶ日本的価値観として紹介していたことだ。わびやさびは美意識だけど、萌えは現実の女性に向かえない病理性の表れではないだろうか。

そこに美意識があるにしても、わびやさびとは美の意味空間上の位置がぜんぜん違う。たとえば「さび」は渋み、意気、地味、上品に関連するが、「萌え」はそれらとはすべて対極の甘味、野暮、派手、下品に関連するように思う。つまり「さび」の真逆の美意識が「萌え」じゃないだろうか。

この日本館の展示は日本に戻ってきていて、現在東京都写真美術館で展示中だ。さて、見に行ったものだろうか。


参考文献:『「いき」の構造』(九鬼周造、岩波文庫)


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この記事へのコメント
■投稿者:LSTY at 2005年03月01日 08:27
こんにちは。ちょいと補足を。

>べつに建築物はさほど変わっていない

個々の建築物がどうと言うよりも、秋葉原という都市の構成に、その影響が出ている、という意味だったと思います。(番組中ではちゃんと触れられていませんでしたが)

>「さび」の真逆の美意識が「萌え」

あの対比は、美意識の「内容」ではなくて、美意識の「対象」、つまり虚構の世界に美意識を求める、という意味においてされていました。

まあ、実は私も「ん?」と思いながら見ていましたが。というか、これは壮大なパロディーなのではないかと途中で思えてきたり。
もしご興味がおありなら「趣都の誕生〜萌える街アキハバラ〜」、正しいかどうか以前に(笑)読み物として面白い本です。
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■投稿者:Cozy at 2005年03月01日 22:19
森川氏の言っている意味はわかります。
ビルの広告の変化を模型で表現した展示もありましたね。これははたしてヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展趣旨にあっているのかという疑問ですね。この部分が問題視されている様子もないようなので「あり」なのでしょうけど。

「わび」「さび」と「萌え」は「欠落」において共通性があるという説明がありましたね。虚構の世界に向かうのも欠落だと。無理に共通性を探したというか、精神障害に見られる「連想されたものは同一である」という思考方法に近いのでは、と。(笑)

森川氏が「萌え」が好きで、文化性を認めさせたいという気持ちは伝わってきましたね。

「趣都の誕生〜萌える街アキハバラ〜」は機会がありましたら。

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