2005年03月18日

書評:ひと月、百冊読み、三百枚書く私の方法

『ひと月、百冊読み、三百枚書く私の方法』(著者:福田和也,出版社:PHP研究所)

人気評論家の知的生産の秘密が書かれている。

読むのは必要な書籍のみ。目的をはっきりさせて必要な部分しか読まない。だから、月に百冊いける。もちろん著者は読むのが速いのだろう。

効率よくするには目的がなければならない。著者の場合は執筆のため、研究のため。一般読書人はあまり目的がないので、真似をするならテーマを決めて読むということか。

あれこれ手帳を持つのではなく一冊の手帳にすべて書き込むらしい。この手帳に読んだ本の必要な箇所を書き写す。一度目の読みでページの上の耳を折り、次に折ったところのみを読みやはり必要だと思えばページの下を折る。そして手書きで書き写す。手書きがいいのは書かれている内容の理解が進むからだそうだ。

この上下の耳を折る本読み術は他でも読んだことがある。誰だったか思い出せない。

他に情報を得る方法、本の書き方などいろいろとノウハウを公開してあるが、自分が面白かったところを紹介する。

評論の文章には「描写」「情報」「エピソード」がある。この3つの要素をどう進行させ組み合わせるかで作品の構造が決るという。なるほど。

小林秀雄の文章のわかりにくさは論理の飛躍(省略)があるからで、しかもその飛躍を読者に感じさせるように書いている。だから読みにくいのだという。非論理的ではない。小林のへの評価は小谷野敦とは逆だ。

本のテーマは簡単に言えるようなものではない。書きたいことは単純ではないという。テーマは一言でいえないとダメだと書いてある本があるが著者は逆を言っているのが印象的だった。

全体として役に立つかどうかと聞かれると、あまり役に立たないと答えるしかない。自分はもっと漫然と本を読んでいるからだ。量産タイプのプロの書き手はこうやっているのか、という興味で読むなら面白い。

気になったのは本書が一文で改行して段落を作っていること。このあまりにも露骨な行数稼ぎがまさか私の方法ということではないだろうな。

IT機器への言及があまりに少ないし、触れていてもややネガティブであるようだ。と思ったら、本書の続編ではIT機器の活用について書いてあるらしい。IT機器抜きでの読み書きはもはや非現実的だ。この著者がどんな活用をしているのか興味がある。


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