2005年04月21日

書評:「人間嫌い」の言い分

『「人間嫌い」の言い分』(著者:長山靖生 ,出版社:光文社新書)

人間嫌いの本ではない。著者は人間嫌いについて「仲間に甘い顔をせず、自分の信念を押し通す人間は、日本社会ではこう呼ばれる」と書いているが、そうではないだろう。著者の言っているのは、自分の流儀で生きている頑固な人だ。それにもかかわらず、人間嫌いはこうだと断定しているのが、いささか不愉快だった。

内容的にもあまり面白くない。自分はこうですと好き勝手に書いているだけで得るところはない。電車の中でこれしか持ってっていなかったので、半分ほど読み、もったいないから残りはところこどろ紹介される文学者のエピソードを楽しみに読み通した。

しかし、それも漱石の「こころ」の紹介が間違っていたせいで、信用度がかなり低くなってしまっている。「こころ」の主人公のわたしにお嬢さんを奪われた友人のKは自殺するのだが、なぜかこの著者は「これが原因でKが行方しれずになってしまう」と書いている。やけに穏便な展開ではないか。そんな程度のことでいつまでも悩まないって。

問題なのは、この間違いを編集者も校閲も見逃していることで、教養の崩壊が大手の出版関係者にもおよんでいることがまたしても明白になってしまった。いまや近代文学なんて誰も読まない、ということか。

もっとも近代文学が教養だなんてのは一時期一部の知識層に起こった特殊な考えに過ぎないと私は思っている。だからといって間違ってもいいことにはならないのは言うまでもない。

人気ブログを紹介してます。  click on blog ranking


この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/cozy_009/19586551
この記事へのコメント
■投稿者:kazu_kmetko at 2005年04月21日 14:01
定価で書店で購入されたのだとしたら、落胆どころではないでしょうね。光文社新書は快進撃しているようにみえますけれど。

本日わたくしめは「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」(光文社新書)と新潮新書4/20発売の新刊「14歳の子を持つ親たちへ」(内田/名越)を購入してきました。これから読みます。

私の場合NHK新書で編集者不在を感じさせられました(語学書もどきになってしまったあるタイトルで)。
--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--
■投稿者:Cozy at 2005年04月21日 23:11
いえ、借りた本です。
落胆も中ぐらいなり、おらが春。

さおだけ屋の本は私も近いうちに読もうと思っています。
商売の基本みたいな内容のようですね。
--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--
■投稿者:kazu_kmetko at 2005年04月23日 22:47
そうです。会計士のセンセイが著者で、活字が大きく、「読め、読め」と迫ってくるようで、おもしろそうです(今日現在未読)。本田靖春の遺作となった
「我、拗ね物にして...」(講談社)現在読んでおります。一読の価値ありと考えます。
--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--