2005年05月04日

書評:スロー快楽主義宣言!/辻信一

『スロー快楽主義宣言!―愉しさ美しさ安らぎが世界を変える』(著者:辻信一,出版社:集英社)

スローライフの提唱者、辻信一がスローライフを快楽という切り口で語っている。

スローライフなんて貧しく、我慢が多く、不便なのではないかとの誤解を解くために、スローライフは愉しさ、美しさ、安らぎに満ちたものであると辻氏は主張する。快楽をお金で買うことに慣れてしまった私たちは本来の快楽を忘れている。本来快楽は自分たちが生活の中で感じるものであって、外にあるものではない。過程を楽しむこと、遅さ、不便さなどに快楽はあり、非競争的で環境的あり平和的である。

言っていることはわかるし、共感できる部分も多いが、内容的にはイマイチで、突込みが足りない印象だった。

ダグラス・ラミスの『経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか』、エピクロス、LOHASについての説明引用が本文中にあるが、それだけでこの本の思想はつきている。他に新しいことは何もない。

さすがにそれだけでは貧相なので、スローライフ実践者への取材もあるのだが、その箇所もたいして魅力があるわけではない。

それに加えて、社会の分析が弱いことも不満だ。こういう行動をすればこれだけの効果がありますとの数字もないし、上記本から借用した理念だけがあるという印象だ。

(この記事、改訂しました。)

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