2005年06月10日

書評:野鳥を呼ぶ庭づくり/藤本和典

『野鳥を呼ぶ庭づくり』(著者:藤本和典,出版社:新潮選書)


本書のタイトルは誤解を招く。著者の主張はたんに野鳥の餌付けをしましょうということではない。もっと大きな視野で多くの生き物が集まる豊かな庭のあり方を提言している。

そのためには日本の風土にあったそして本来の生態系を生かした庭造りをしなければならない。だから外来種や改良種を庭に入れてはいけない。その土地に適した樹木を植えなければ、その土地の昆虫や鳥は集まらない。

蝶やハチは自分が好きな花を知っていて、蜜を吸いながら自然に植物の交配をすすめる。てんとう虫やクモなどの肉食の昆虫は植物を食べる昆虫を食べるので無農薬でも植物は守られる。鳥は実を食べては、糞に混じった種を落としていく。

池をつくり、メダカを入れることも勧めている。環境にあった池作りをすればトンボやカエルもやってくる。メダカはぼうふらを食べるし、トンボが蚊の成虫を食べる。カエルは大量の虫を食べるので昆虫の大量発生を防ぐことになる。

このように自然の生態系をうまく利用すればバランスの取れた手のかからない「里山の庭」ができる。そして季節の変化と生き物の共演を楽しめる。

こうした「里山の庭」の中心になるのは、5種類の異なる樹だ。その地域に自生するものから落葉広葉樹を5種類選んで植えることがコツだそうだ。

本書のよさは自然を見るときの新たな視点が得られることだ。目を引くキレイな花が咲いているとか庭がきちんと整理されていることは重要ではない。むしろマイナスになっていることもあるだろう。それよりも自然の生態系が作られていること、その土地の本来の自然環境を壊していないことが大切だ。

ちなみに生き物があつまる環境をビオトープと呼ぶそうだ。最近は庭やベランダビオトープを作る生態系的園芸がブームであるらしい。インターネットで検索するといっぱい出てきた。


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