2005年06月14日

書評:どうすれば最高の生き方ができるか/ノーマン・V・ピール

『どうすれば最高の生き方ができるか』(著者:ノーマン・V・ピール,出版社:三笠書房)

目標を持つこと。失敗しても成功するまで粘り強く努力を続けること。この手の本のおもな内容はこのように要約できるのではないだろうか。

原理は単純。しかし、実践はむずかしい。

本書では人の役に立つことを目標に選ぶようにとのアドバイスがあるだけで、どういう目標を持てとまでは指定していない。しかし、この本を読む人のほとんどがなんらかの社会的成功を目標に置こうと考えるに違いない。そうでなければこの種の本は読まないのではないだろうか。

自分の中には何らかの意味での社会的成功を達成したい気持ちとそういうものを捨て去りたい気持ちの葛藤がある。当然、前者の気持ちに火をつける役割を果たすのが本書である。ところが、読んでいる途中からつまらなくてやめたくなった。その種の野心が自分の中でどんどん減りつつあるのではないかと言う気がする。最高の生き方は野心とは別のところに存在するような気がしてならない。

自分の野心や社会的成功ではなく、たとえばワークシェアリングの実現や直接選挙制の実現を目標として掲げる生き方も当然ありえるわけだが、そういう目標を想像してもどうも燃えるものがない。

自分はもっと静かにひっそり生きたいと思っているのだろうか。エピクロスを尊敬するB級遊民には社会的な夢も目標もいらないのだろうか。それならいっそ夢や目標を持たずに生きていけるようになるという目標を持とうか。



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 『どうすれば最高の生き方ができるか』 訳者の謝世輝によるとノーマン・V・ピールは、アメリカのニューソート哲学の最高の地位にあるそうです。ニューソート哲学とは、強い「信念」を持てば、あらゆる難関を突破し、多くの願望を達成できることを約束するものである。...
ノーマン・V・ピール『どうすれば最高の生き方ができるか』【癒し研究所】at 2005年12月04日 21:10
この記事へのコメント
■投稿者:cherico at 2005年06月16日 01:49
・・・難しいですね。
私も「目標を持とう」と考える一人ではありますが、この手の本は読みません。なんと言うか、単に苦手なのです。だから、もし読み始めても、多分私も途中でやめると思います。

私は自他共に認める器用貧乏で、もしかしたら「あの人、あちこち行き過ぎてて定まってない感じだね」と言われているかもしれません。でも本人としては、最高とは言えなくても、ベストな生き方をしているつもりです。そんな自分は「社会的成功の達成」には程遠いし(笑)、そもそも大きすぎる目標は持っていません。cozy_009さんと同じく、最高の生き方は、野心とは別のところに存在すると思っています。
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■投稿者:Cozy at 2005年06月16日 10:16
私も多趣味でアレコレやっては飽きてしまいます。
このブログも一年もたたずして、写真から読書に重点が移っていて、さてどうなることか。こんなにふらふらしていていいのか。

また別の方向に向かいそうです。
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