2006年02月08日

美術展:ニューヨーク・バーク・コレクション展

東京都美術館でやっているニューヨーク・バーク・コレクション展を見てきた。バーク夫人の日本美術コレクションは縄文土器から江戸時代までの長期間をカバーし、ジャンルも多岐にわたる。

酒井抱一「桜花図屏風」
酒井抱一『桜花図屏風』

誰もが知っているというような目玉はないけれど、どれもレベルが高く、こういうものもあるのかと新鮮な驚きも随所に感じられて、日本の美術に関心を持っている人ならそれなりに収穫はあるだろう。

古い壷や仏像なんかに面白みを感じたのは自分でも意外だった。モノとしての存在感が半端じゃない。歴史の重みというよりも作られてからの時間の長さという即物的な迫力みたいなものを伴っている。中でも古墳時代に作られた横瓶がおすすめ。とてつもなく味がある。こういう古いものには近代以降の作為的な味とは違う本当の味があってよい。

曾我蕭白,石橋図この絵は江戸時代、曾我蕭白の『石橋図』だ。切り立った山に獅子があふれるほどへばりついている。中央にいる大きな父親の獅子が子を谷に落としているのだとか。「巨人の星」で有名になった「獅子はわが子を先陣の谷に落とし、自ら這い上がってきた子のみを育てるという」というあのお話を題材にしているらしい。

それにしてもここにうじゃうじゃといる小さい獅子たちはみんな子供なのだろうか。あまりに多すぎてこれから谷に落とされるものとすでに這い上がってきたものの区別がつきそうもない。

獅子はもちろん山の描きかたも雲もすべてが漫画チックで本当にこれが江戸時代の絵なのかと疑いたくなる。
曾我蕭白『石橋図』

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