2004年10月05日

レンズ特性と写真の内容

ライカ新時代―ぼくたちのM型ライカ』というムック本に赤城耕一さんのレンズ評が載っている。ここで気になる言葉を見つけた。

「私自身はレンズ描写についてこうしてもっともらしく薀蓄を語りつつも、その描写特性が写真の内容に与える影響というのは基本的にほとんど皆無であると考えている。」

ここで赤城さんはレンズの描写に違いがないといっているわけではない。「内容に与える影響はほとんどない」と言っているのだ。

そもそも写真の内容とは何かと論じはじめるときりがないのだが、過去の名作などをふと思い浮かべて見ると、たしかにレンズのよさとか描写特性などどうでもよいケースがほとんどであることに気がつく。

今、写真美術館に至る壁面には植田正治の妻のいる砂漠の風景、キャパのノルマンディの写真、ドアノーの市役所前のキスが巨大サイズで飾られているが、このどれもがレンズの個性などどうでもいい種類の作品だ。日本の写真史上の最高傑作だろう荒木経惟の「冬の旅」なんかはコニカのコンパクトカメラ、ビックミニで撮られていたはずだ。

力のある作品ほどレンズの特性には頼っていない。内容勝負だ。

赤城さんの言わんとすることは別にあるのかもしれないが、こんなことを思った。思ったけれど、レンズの性能とか気になっちゃうのが凡人のサガである。

「センチメンタルな旅・冬の旅」…アラーキーこと荒木経惟の最高傑作にして、日本写真史上の最高傑作。センチメンタルな旅はニコン、冬の旅はコニカ・ビックミニFで撮られたらしい。



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この記事へのコメント
■投稿者:タカザワ at 2004年10月05日 18:00
まったく同感です!
と一言伝えたくてコメントしました。
これからもちょくちょく寄らせていただきます。
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■投稿者:tukamoto@y.email.ne.jp at 2004年10月05日 20:01
赤城耕一さんの言葉に同感です。
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■投稿者:Cozy at 2004年10月09日 16:25
>タカザワさん
共感してくれるひとがいて、ほっとしました。
デジタルになってますますレンズの写りのこだわる風潮が強くなっていますね。本末転倒にならないようにと自戒しています。
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■投稿者:Cozy at 2004年10月09日 16:35
>tukamotoさん
赤城さんはウェブでも同じようなことを書いているのを見たことがあります。レンズの記事ばかり書いているのに正直な人ですね。
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■投稿者:ミノヲタ at 2004年10月11日 20:30
>cozyさん ども。
ちょっとこれには反対ですね。
ニューカラー派、一時期流行った日中シンクロ、ライカレンズが根強いファインアート...
どれもこれもレンズ・フィルムの性能があればこそ、又は性能を引き出してこそ有り得た写真。

被写体に比重を置く写真ならばレンズの役割は低いですが、
(それでも荒木-hiromixの写真はコンパクトカメラの線の太い描写が力強さにつながってる)
自分の頭のイメージを印画紙に落とし込む写真ではレンズやフィルムの役割はとても大きいです。
レンズの写りに振り回されるのは駄目ですが、レンズなんか何でもいいて訳は決してない!
と思います。
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■投稿者:Cozy at 2004年10月12日 14:25
いらっしゃい、ミノヲタさん。

フィルム、フィルムサイズ、プリント技術は抜きにして考えると、写真を見慣れた人、写真が趣味の人でなければちょっとした画質の差はわからないし、問題にしないって事実があるんじゃないかと思います。赤城さんもあまりに性能の違うレンズを比べているわけではないので、原則としてちゃんと写る一眼レフのレンズが対象の話です。ロモだの写るんですになるとこれはまた別と思いますよ。素人でもはっきりわかるのはやはり違います。つまりちょっとした描写の違いにこだわる必要があるのかってことです。

それでも違いはあるんだと言えばその通りなんです。ミノヲタさんのおっしゃっていることは間違っていない。でも、自分とは力点が違います。

描写の違いが問題になるような写真はもともと写真に力がないのだと思います。ライカギャラリーの写真はライカのレンズじゃなくても撮れるものばかりです。少なくとも私はそんな違いに価値を認められない。逆に、アラーキーの「冬の旅」が一眼レフで撮られたとしても価値は下がらない。これは内容に力があるからです。まあ、ビッグミニって描写はいいはずですけど。

私はレンズの描写に頼らない写真を撮りたい。そうじゃないとウェブで公開したらつまらなくなるでしょう。オリジナルを見ろって話になる。その場合のオリジナルは何かって問題が難しいのですけど…。

今までの経験だといい写真を見たときはレンズの描写なんて考えない。逆に言うとレンズが気になる写真はたいしたことがない。それはレンズの描写を鑑賞しているんです。そういう部分に感心した作品は心に残っていない。これは自分の性向なので普遍化する気はないんですが。

ああ、なんかblogのコメントらしい展開だ。
テーマをたててみんなの意見を聞けるような形になったら面白いですね。

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