2004年10月17日

書評:変わる若者と職業世界

変わる若者と職業世界―トランジッションの社会学』(矢島正見、耳塚寛明 、学文社)

高校生や大学生が職業世界へと移行(トランジッション)する際の問題点を社会学的に読み解こうとする試み。なぜ学生の就職率が低いのか、高卒無業者、大卒無業者が急激に増えているのかを解明しようとしている。

不景気や高校生の質の低下などの問題もあるが、企業が正社員の比率を下げてパートや派遣などの非正社員の比率を増やしていることが大きな要因とされている。それについていけない(いくつもりもない)学校側の就職対策にも問題ありとされる。

企業が非正社員を増やすのは賃金格差や保証の格差が法律的に許されているからである。安く使って、いつでも首が切れるならその方が都合がいいのは当然。非正社員への差別待遇を禁止する法律の制定がなにより大切だと思う。同一職務は同一賃金にして、被雇用者の立場をもっと強くしなければならない。

フリーターの若者は現在志向で消費的であるとの分析もある。彼らは先のことは何も考えていないかのようだ。しかも彼らは収入は少なくともいっぱしの消費者である。しかし、それだけなのか。従来の日本人の生活観、価値観との違いをもっと掘り下げる必要があるだろう。就職難だけでは大卒無業者にはならないだろう。

第2部の「ケース研究(フリーターという若者たち」では「ベンチャー企業をめざす若者たち」「大学教員をめざす若者たち」「ホモバーに従事する若者たち」を紹介している。

とりわけ大学院生が大学院批判、教授批判をするくだりが生々しくてよろしい。大学院などまともなことは教えないし、教授には指導力がない。大学職員への採用もどうやって決めているのか不透明。論文の評価方法も曖昧。いろいろと問題の指摘がある。社会学の専門書の枠を超えての怨み節に引き込まれる。この章の執筆をしているのが大学院生だ。必要以上に力が入ってしまったようだ。

ベンチャー企業とホモバーの話は意外と面白くない。研究書だからこれが普通か。

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