『腕白小僧がいた』(土門拳、小学館文庫)土門拳が子どもを撮った写真を中心に土門自身があちこちに書いた文章を集めてある。途中に、エッセイストの群ようこ、土門の長女の池田真魚のエッセイが入り、最後にノンフィクション作家、柳田邦男のエッセイが入る。
どれも見たこのある写真ばかりだが、やはり傑作、名作が多く素晴らしい。土門が病気で歩けなくなってしまったことはまことに惜しい。手持ちカメラで撮り続けたらどんな傑作が撮れたかわからない。この感想の裏には歩けなくなってからの土門はつまらないという否定的な評価がある。私には後期の土門はよくわからない。
これらの写真が素晴らしいのは今ではもう見られない子どもの姿が記録されているからでもある。貧しくても人とぶつかりながら全身で遊んでいた輝く子どもの姿が見事にとらえられている。日本が豊かになったのはけっこうなことだが、喪失したものも大きい。そのことをしみじみと感じさせる。
土門のエッセイで一部やらせ写真があることを知った。壁に映った子どもの影を撮ろうとしていたら、子どもがよけてしまった。キャラメルをあげて元の位置に立たせたらしい。しかし基本的には子どもの素の姿をとろうと努力していたことは写真を見ればわかる。
(過去発表したものを加筆訂正)
よろしければ応援お願いします m(__)m click for blog ranking