『幸福論』(春日武彦、講談社現代新書)
奇妙な幸福論だ。幸福について語っていない。少なくとも通常イメージされる幸福については、そんな気まぐれなものに頼っても、とつれない。
不幸については語る語る。精神科医だからこれには詳しい。そして奇妙なほんのりとした幸福ついて控えめに語る。しかし、『「世界の構造」を垣間見た感覚』や「世界と和解する予感」を幸福とからめているあたり、おおげさいうよりも病理的な印象だ。
病んでいる精神科医による病んだ幸福論。けっこういい味がする。私は気に入った。自分の地味な写真、ダウナー系写真(このブログではあまり出さないけど)にちょっと通じるところがある。
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