2004年11月26日

書評:何をやっても癒されない

『何をやっても癒されない』(春日武彦、角川書店)

病的傾向のある精神科医のエッセイ集。

何をやっても癒されないのは春日氏本人で、何をやっても気が晴れることがない氏は「充実感や達成感を以ってその代用とするしかない」と書いている。気晴らしで満足できればたしかに効率的だが、充実感や達成感の方が喜びが深いだろう。充実感が得られるなら、癒されないことはさしてマイナスではないはずだ。

先日紹介した『幸福論』(春日武彦、講談社現代新書)では、不幸の要素として退屈さと不全感があげられていた。ということは、充実感を得られる氏は不幸でないということになるし、癒しをつまらぬものと言う氏の主張は論理的に一貫している。つまり「何をやっても癒されない」というタイトルは「けれど、充実して生きていけるので幸福だ」と続くのだ。

とはいえ、この人はなかなか病的だ。暗い想像力を働かせる癖がついているようで、味噌汁のしじみの貝が開いていないものは死んでいるからときかされて、その中はどういう状態なのかと想像して、気分が悪くなったりする。そういう変な人。

なかなか面白い見方や発想で書かれたエッセイが多いので、自分の中に病的なものを感じている人は読んでみるとけっこう共感できるかもしれない。

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この記事へのコメント
■投稿者:弥一です at 2004年11月26日 22:55
 はじめまして。
 精神科医(心理学者)のこの手の本、ちょっと前の自分だったら、すぐ手に取ったかも。不安な時代だから、病的な傾向(を扱った)の本は売れるんでしょうね。
 そもそも、テレビでコメントする心理学者を見てて、一番、病的なのは、君等じゃないのって感じる。自分を治癒するためにこの世界に関わっているってことだろうか。
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■投稿者:Cozy at 2004年11月27日 18:47
こんにちは、弥一さん。
最近、うすい人格障害が増えているから、売れるかもしれないですね。

テレビのコメントについても書いてました。
精神科医として当たり障りのないことを言うとか。
面接もせずに診断はできないので、そうなってしまうのでしょう。
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