タイトル一覧

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2007年01月05日

美術展:川柳と浮世絵で楽しむ江戸散歩

okami.jpg
たばこと塩の博物館で川柳と浮世絵で楽しむ江戸散歩を見てきました。
咲分ヶ言葉の花 おかみさん:喜多川歌麿

江戸川柳は句の一部を抜き出したものだそうです。さらに当時の風俗を反映しているため意味をとるのが難しく、展示を見てもピンと来ません。

一緒に展示されている浮世絵も保存状態の悪いものが多く、色あせているものがたくさんありました。

そういう意味ではあまり楽しめない展示でしたが、句の解説を載せた111ページもの小冊子がもらえます。100円で入って、小冊子を貰って、展示を見るのですから、お得です。

私もこれを読みながら展示を見れば、よく理解できたでしょうが、そこまでやる気は起こらずあっさりと見てしまいました。いけませんね。

さて、この句をどう読みますか?

 紅葉よりめしにしようと海晏寺(かいあんじ)

紅葉の名所の品川の海晏寺に来て、さっさと飯にしようと言っているのかと思いましたが、この「めし」は飯盛り女(旅籠にいる売春婦)のことだそうです。

花より団子ならぬ、花より花魁(おいらん)。ま、花魁は本来高級遊女のことなので、この表現は当たりませんね。

  

2006年09月11日

美術展:パリの浮世絵師 アンリ・リヴィエール『エッフェル塔三十六景』

eiffel.jpg
(C)Henri Riviere

9月9日(土)にニューオータニ美術館でパリの浮世絵師 アンリ・リヴィエール『エッフェル塔三十六景』を観た。

初日だからさぞ混んでいるだろうと思ったら、先客はひとり。そのひとも電話がかかってきたらしく、すぐに外に出て、あとは私一人での独占的鑑賞会。なんという人気のなさ。

『エッフェル塔三十六景』(Les 36 vues de la Tour Eiffel)はリヴィエールが葛飾北斎の富嶽三六景にヒントを得て、パリのエッフェル塔を風景の一部に取り入れた版画の連作だ。

 建造途中から描かれているのが、富士山との大きな違いか。また、その何枚かのエッフェル塔があまりに遠くに小さく描かれていて、このシリーズのひとつであると知らなければ気がつかないほどであることにも驚いた。それらの版画の中ではエッフェル塔の存在はほとんど意味をなしていない。ここからでも見えるんですよ、と遠望の限界点をしているかのようだ。

構図的には北斎だけでなく広重の作品の影響も強い。とりわけ江戸名所百景の大胆な構図の影響が見て取れる。展示品の横に影響を受けたと思われる浮世絵の小さな図版が添えられているのが親切でよかった。

リヴィエールは写真も撮っていた人で、版画の元になった写真も少しだけ並べて展示してあった。写真では記録的性格が強くて味気ない風景が版画になると情緒的に見えてくる不思議が体験できた。わずかな形態の加工、抽象化された線の処理、色合いの統一、新たに与えられた背景。これらが版画としての芸術性を高めていることがわかる。

興味のある人はほとんどいないだろうけど、外国人の版画やジャポニズムに関心があればどうぞ。

Webページはこちら

■パリの浮世絵師
アンリ・リヴィエール《エッフェル塔三十六景》

会期 2006年9月9日(土)〜 10月22日(日)
会場 ニューオータニ美術館
東京都千代田区紀尾井町4-1
 ニューオータニガーデンコート6F(ロビィ階)

開館時間 午前10時〜午後6時(ご入館は午後5時30分まで)
休館日 月曜日(但し、9/18、10/9は開館、9/19、10/10は休館)
入館料 一般¥500、小中生¥200
 (20名以上の団体は各¥100引)
  

2006年03月24日

写真展:ベルント・ローゼ写真展「希望の光」

heiwanoki.jpg九段下にある昭和館で、ベルント・ローゼ写真展「希望の光」を見てきた。サブタイトルはドイツ人特派員が撮った昭和26年の日本。

ローゼのレポートを要約するとこうなる。日本人がどんなにひちひしがれているかと思って来日してみたら、原爆被災地である広島に生きる日本人はとっても明るかった。


ジャーナリストらしくいろいろな写真を撮っていて、広島、大阪、東京の当時の様子がよくわかる。とりわけ芸者学校の様子を写した写真は貴重だろうし、旅館や家庭の中まで撮影していて、日本文化への興味がよく表れている。

satueikai.jpg妙におかしかったのは、女性モデルを使った撮影会の様子を写した写真。当時は二眼レフカメラが全盛のようで、みんながウェストレベルファインダーを覗き込むさまはユーモアがある。


それにしても美人が写っていないなと不満に思っていたら、原節子の写真があった。彼女は戦前にドイツ映画に出演したらしい。その関連で取材を行ったようだ。

彼が使っていたカメラも展示されていた。CONTAX。カールツァイスイエナのテッサー5cmF2.8がついていた。


ベルント・ローゼ写真館「希望の光」〜ドイツ人特派員が撮った昭和26年の日本〜

【会期】平成18年2月25日(土)〜4月9日(日)
【会場】昭和館3階 特別企画展会場
【後援】外務省 ドイツ連邦共和国大使館
【料金】無料

昭和館

引用した写真はいずれもベルント・ローゼ撮影のものです。  

2006年02月08日

美術展:ニューヨーク・バーク・コレクション展

東京都美術館でやっているニューヨーク・バーク・コレクション展を見てきた。バーク夫人の日本美術コレクションは縄文土器から江戸時代までの長期間をカバーし、ジャンルも多岐にわたる。

酒井抱一「桜花図屏風」
酒井抱一『桜花図屏風』

誰もが知っているというような目玉はないけれど、どれもレベルが高く、こういうものもあるのかと新鮮な驚きも随所に感じられて、日本の美術に関心を持っている人ならそれなりに収穫はあるだろう。

古い壷や仏像なんかに面白みを感じたのは自分でも意外だった。モノとしての存在感が半端じゃない。歴史の重みというよりも作られてからの時間の長さという即物的な迫力みたいなものを伴っている。中でも古墳時代に作られた横瓶がおすすめ。とてつもなく味がある。こういう古いものには近代以降の作為的な味とは違う本当の味があってよい。

曾我蕭白,石橋図この絵は江戸時代、曾我蕭白の『石橋図』だ。切り立った山に獅子があふれるほどへばりついている。中央にいる大きな父親の獅子が子を谷に落としているのだとか。「巨人の星」で有名になった「獅子はわが子を先陣の谷に落とし、自ら這い上がってきた子のみを育てるという」というあのお話を題材にしているらしい。

それにしてもここにうじゃうじゃといる小さい獅子たちはみんな子供なのだろうか。あまりに多すぎてこれから谷に落とされるものとすでに這い上がってきたものの区別がつきそうもない。

獅子はもちろん山の描きかたも雲もすべてが漫画チックで本当にこれが江戸時代の絵なのかと疑いたくなる。
曾我蕭白『石橋図』

Let's ENJOY TOKYOのニューヨーク・バーク・コレクション展のページ

東京都美術館のニューヨーク・バーク・コレクション展のページ
  

2006年02月05日

美術展:ポーラ美術館の印象派コレクション展

クロード・モネ「バラ色のボート」箱根にあるポーラ美術館所蔵の印象派コレクションが渋谷のBunkamuraにやってきている。

クロード・モネ『バラ色のボート』
1890年 油彩、キャンヴァス

ドガ、ルノアール、シスレー、モネ、スーラ、セザンヌ、ゴーガン、ボナール、ルドンとポスト印象派なども含めて錚々たるメンバーではあるけれど、このところ印象派への興味も弱まっていることもあってか、全体的にはさほど感動はしなかった。目玉になるような名品が少ないということもあるだろうが、ややインパクトにかける。

自分としては一番の見所はモネの「ルーアン大聖堂」。古い建築物に太陽光があたる様子を描写した連作のひとつ。本当はこんな風に見えやしないし、あまりにぼんやりしているのだけど、不思議な説得力がある。

口絵にある「バラ色のボート」もなかなかよかった。オールがびよーんと手前に伸びた広角レンズで写したような不思議な構図。幻想的な緑の池の中をすすむ白いドレスを着た娘たち(ひとりは奥さんか)を乗せたボート。自分はモネの光の効果よりも幻想的な雰囲気が好きなのかもしれないと思った。

レースの帽子の少女一般受けしそうなのはルノワールの「レースの帽子の少女」。実際、きれいなのでうっとりと見とれてしまった。

ドガはやはり構図と被写体のしぐさが面白い。スナップ的というかまさにスナップ。これらは自ら撮影した写真を元に書いている作品なのだろうか。あまりにリアルで象徴的な一瞬を捉えている。

残念だったのはセザンヌ。自分好みの作品がなかった。静物画が中心だったが、どうも魅力がわからない。見る角度を変えた絵を合成したような絵作りにどういう意味があろうとも、絵から受ける印象は弱い。

ピエール=オーギュスト・ルノワール『レースの帽子の少女』


 ポーラ美術館所蔵の印象派コレクション展

【会 期】 2006年1月2日(月)〜2月26日(日)  開催期間中無休
【開館時間】 10:00〜19:00(入館は18:30まで)
      毎週金・土曜日21:00まで(入館は20:30まで)
【会 場】 Bunkamuraザ・ミュージアム
  

2005年06月18日

美術展:歌川広重のすべて 第二部

太田記念美術館では開館25周年記念の特別展として『歌川広重のすべて 第二部』を観てきた。

すでに終了しているので、個人的メモ。

5月の第二部は広重の版画作品。「東都名所」シリーズ全点、「近江八景之内」シリーズ全点、「東海道五拾三次之内」シリーズから一部セレクト。他に数が少ないと言われている「江戸近郊八景之内」、「東都司馬八景」、摺物「鳥兜の図」など。

何度も見ているので保永堂版の東海道五拾三次が中心だったらイヤだなと思っていたら、そうではなかった。見たことのない風景画、実物を始めてみるものが多く収穫があった。でもやっぱり蒲原が最高傑作だと思う。次が庄野か。

現在は第三部が開催中。「名所江戸百景」シリーズ全点を展示なり。

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安藤広重『東海道五拾三次之内 庄野』
  

2005年06月17日

美術展:浮世絵で楽しむ江戸の旅 〜東海道宿場めぐり〜

たばこと塩の博物館でやっていた企画展「浮世絵で楽しむ江戸の旅 〜東海道宿場めぐり〜」を見た。と言っても、とっくに終了しているので、一応備忘録として記す。

東海道に関係するさまざまな浮世絵を展示している美術展。広重の保永堂版「東海道五十三次」はもちろん(といっても一部のみ)、美人画と風景画や宿場絵を組み合わせた浮世絵、『東海道中膝栗毛』を元にした漫画風の絵など、あまり見かけない絵が一度にたさくん見られてけっこう満腹感があった。旅が庶民の楽しみであったことから、それを描いた絵もまた娯楽性が高くなるようだ。

入場料は100円。ホントこの「たばこと塩の博物館」って良心的だ。

三代歌川豊国画、「東海道五十三次之内 大津ノ図」、toyokuni-ootsu.jpg
三代歌川豊国画「東海道五十三次之内 大津ノ図」
  

2005年05月15日

美術展:ゴッホ展

ゴッホ 糸杉と星の見える道東京国立近代美術館でやっているゴッホ展を見た。

年代順に各時期ごとの展示がされていて、ゴッホの絵の変化がわかるようになっている。また、ゴッホが影響を受けたものがいろいろと展示してあった。浮世絵をはじめとする他の絵画。愛読したキリスト教関連本や自然主義文学の小説本。構図や画題について影響を受けた絵、本の挿絵などもあった。
ゴッホ『糸杉と星の見える道』

ゴッホ以外の絵が多いのも特徴か。逆に言うとゴッホの絵が少ない。正直、これは不満だった。見たかった絵の多くが来ていなかった。とくに晩年の絵に期待したが、あまりに少ない。「ひまわり」もない(東京会場では展示しないらしい)。

こちらの気分が乗っていなかったせいもあるのかもしれないが、あまり感動はなかった。ゴッホというとアルルの強烈な日差しを描いたとよく言われるが、テレビで見るような輝きはない。以前、東郷美術館で「ひまわり」を見たときに、意外と地味でくすんでいるように見えたが、同じ印象だ。テレビのようにそれ自身が発光するものと実際の絵画の反射光での鑑賞では印象が変わってしまうのが大きな理由だろう。

一番よかったのは「糸杉と星の見える道」。これにはとてつもないパワーを感じた。

私はゴッホの絵は好きじゃないのだろうか。その生涯には関心はあるが、もともと好きな画家ではなかった…。今回は晩年の絵が少なかったので落胆したというのもある。

今回のゴッホ展はあまり期待しないで見に行かれた方がいいと思う。

東京国立近代美術館
5月22日(日)まで(会期中無休)
  

2005年05月07日

写真展:ウナセラ・ディ・トーキョー 残像の東京物語

世田谷美術館でやっている『ウナセラ・ディ・トーキョー ANOHI ANOTOKIO − 残像の東京物語 1935〜1992』を見てきた。

7人の写真家よる東京をテーマにした800枚の写真の大展示。その7人とは、荒木経惟、桑原甲子雄、高梨豊、濱谷浩、平嶋彰彦、宮本隆司、師岡宏次。

師岡宏次
photo by 師岡宏次(これは写真集の表紙。同じ写真が展示されている)

一番面白かったのは師岡宏次。引き気味の構図で戦前の街並みを写したものが多い。銀座の写真が多くてモダンな印象の東京を捉えていた。街中の看板、今でもあるお店もちらほら、和服洋服の入り乱れた風俗も興味深い。クリスマスは戦後になって広まったのかと思っていたが、戦前にもクリスマスで浮かれるサラリーマンがいたことが判明。

東京大空襲の惨状に目を見張る。廃墟の銀座を歩く人々。復興。写真は歴史の証言者であることをあらためて感じた。


桑原甲子雄の作品も多かった。やはり戦前の浅草や下谷がよい。師岡と違って人物に寄ってリアルな生活感を捉えていることに桑原の特徴があることがわかる。師岡の銀座と桑原の浅草では同じ時期の写真であっても雰囲気がまるで違う。撮影者の感性はもちろんだが地域性の違いも大きい。そういう対比もまた面白い。

桑原甲子雄それにしても桑原の1970年以降の作品群はなぜこうもつまらないのか。被写体への視線が変わってしまったのか。これが戦後の日本に対する批評なのか。左の写真はその中でもわりといい写真。このレベルでも戦前と比べると落ちる。
photo by 桑原甲子雄

他の方々の写真は正直面白くなかった。アラーキーはもっといい写真があるはず。

600円でこれだけたくさん見られるのはかなりお得。自分としては師岡だけでも満足できたと思う。超おすすめ。

名称: ウナセラ・ディ・トーキョー ANOHI ANOTOKIO − 残像の東京物語 1935〜1992
会期: 2005年4月23日(土)〜5月29日(日)
休館日 毎週月曜日
開館時間: 午前10時〜午後6時(入館は閉館30分前まで)
会場: 世田谷美術館 SETAGAYA ART MUSEUM
観覧料: 一般:600(480)円 大高生:400(320)円 中小生・65歳以上:300(240)円
( )内は20名以上の団体料金、障害者割引あり
  

2005年04月19日

美術展:歌川広重のすべて 第一部

太田記念美術館では開館25周年記念の特別展として『歌川広重のすべて 第一部』を観てきた。

3ヶ月にわたって広重の作品をシリーズ展示するという。4月の第一部では、版画ではなく肉筆画の展示が中心だ。広重の版画の有名な作品はたくさん見ていたが、あまり肉筆画は見ていなかった。そういう意味では貴重な美術展だった。が、絵としてはそれほど面白くはない。

水墨画のような雰囲気の風景画ではやたらとぼかしを使っていたり、正攻法の美人画などもあって、「へえ、これが広重か」と思わせるのだが、やはり有名な版画の風景画の方がいい。広重の魅力は構図の妙技にあると私は思っている。それが今回の肉筆画があまり見られない。全体に凡庸なのだ。

広重ファンならば見聞を広めるために見ておいたほうがいいが、一般向けではない。5月の第二部は版画、6月の第三部は「名所江戸百景」シリーズ全点を展示するというので、この機会に広重の浮世絵をまとめて見たいという方はそちらへどうぞ。
  

2005年03月25日

美術展:浮世絵1010の世界

THEATRE1010ギャラリー開館記念特別展示、足立区立郷土博物館所蔵『浮世絵1010の世界』を見てきた。場所は北千住の丸井デパート内にあるTHEATRE1010ギャラリー。千住と1010をかけたネーミングらしい。

展示されている浮世絵が1010点。膨大な枚数でまともに見ていると疲れる。ほとんどの客が最後のほうでは歩くのが速くなっていた。たっぷり鑑賞時間をとって、途中休みながら見てまわりたい。再入場も可能だ。

さて、展示内容なのだが、さすがにジャンルは多岐に渡っている。風景画、美人画、役者絵などの定番はもちろん、生活に使われた玩具的な絵も押さえてあるし、明治期の浮世絵もたくさんあった。

私としては広重の冨士三十六景(北斎の富嶽…ではない)と明治の浮世絵がまとめて見れたのが収穫だった。とくに明治の浮世絵は町の様子が変化していく様子をとらえていて興味深い。そこでは日本初の銀行「三井組ハウス」が何度も画題として取り上げられていた。日本橋の名物だったようだ。

広重では同じ絵の刷り違いのを並べて展示してあった。これは絵によって色遣いが違っているのがわかって面白い。

写楽は一枚もない。春信が少ない。歌麿も少ない。というのも気になった。枚数のわりに名作は多くないという印象だ。

北千住の丸井11階 ギャラリー全室
30日まで
高校生以上800円
  

2005年02月25日

太田記念美術館名品展 後半

娘日時計 辰の刻、喜多川歌麿、musumehidokei01.jpg1月に続いて太田記念美術館『開館二十五周年記念 太田記念美術館名品展』後半に行って来た。
娘日時計 辰の刻(喜多川歌麿)

今月も比較的美人画が多かった。

目に付いたところでは、歌麿が遊女(だと思うが)の朝、昼、晩の様子を描いた「娘日時計」が面白い。朝は朝顔を見ていて、昼にはすでに風呂に入っている。夕方から着替えて店に出る。

これを見るとやけにまったりとしているが、遊女の平均寿命23歳という悲惨な世界だったという。小谷野敦なら隠蔽された裏側を見よと怒りそうだ。

今回も名作が盛り沢山。26日までなので時間があればぜひ。
  

2005年02月21日

ロバート・キャパ写真展 キャパ・イン・カラー

日本橋三越の新館でやっていたロバート・キャパ写真展 キャパ・イン・カラーに行って来た。

世界でもっとも有名で人気のある報道写真家、ロバート・キャパのカラー写真を世界に先駆けて日本で公開する写真展。(会期は20日までなのですでに終了しています。)

コダックのコダカラーで撮影した第二次世界大戦の未発表カラー写真がたくさん展示してあった。イギリスや海上で撮られた第二次世界大戦中の写真。ヘミングウェイの家族。来日した時の日本。地雷で死ぬ直前のインドシナ。そのどれもが鮮やかなカラーで再現される。すごいぞ、コダカラー。

燃えている飛行機を消火している場面など、青い空、緑の芝生のせいで、のんびりした雰囲気さえ感じる。色があることでこんなにも影響を受けるのかと驚く。

キャパといえばモノクロのイメージだが、カラーで撮ったものを見ると、カラーの方がいいんじゃないかと思えてくる。これだけビビッドでリアルな写真を見せられるとモノクロの必然性など見つからない。

会場の最後にはキャパの名作モノクロ写真も展示されていたが、まさに「色褪せて」見える。キャパの写真は基本的に報道写真であって芸術写真じゃないからそう思うのかもしれないし、キャパの写真に色があることに私が興奮しているせいもあるだろう。

おそらく雑誌などにも紹介されるだろうから、機会があったら見ていただきたい。

詳しいレポートは以下のブログでどうぞ。

scannersブログ

THE EYE FORGET


味方の船に信号を送る護送船団の乗組員 photo by CAPA。
  

2005年02月13日

浮世絵 花ざかり 〜くらしを彩る江戸の華〜

渋谷のたばこと塩の博物館でやっている『浮世絵 花ざかり 〜くらしを彩る江戸の華〜』に行って来た。

浮世絵は当時の現代でいうと写真のような存在だった。観賞用だけではなくて生活のさまざまな場面に取り入れられていた。本美術展では、普通の浮世絵のほかに団扇(うちわ)、切り抜いたり組み立てたりして遊ぶおもちゃ絵、クイズを解くような判じ絵などが展示されている。

時事ネタをあつかう絵もたくさんあった。地震・開国・疫病の流行、幕末の世相や経済状況を絵で示したものなども興味深い。幕末には騒乱を予想して江戸から逃げる人が多かったらしく、それにともなって各商売の景気がどのように変化したかもわかる。

本来の観賞用の絵もいいものがたくさんあった。着物の描写がじつにきれいな美人画が多くあって楽しめる。明治になってからの浮世絵には西洋傘をさした美人画もあった。これがじつにきれい。必見。

しかもこの美術展の入場料が100円だ。桁を間違えているわけではない。漢字で書くと百円。激安。しかも内容は充実。浮世絵なんてと言う人もこれなら損はないはずだ。一度でいいから見て欲しい。浮世絵はいい。


上の絵は組立式のひな壇。子供雑誌の付録にあるような紙の工作ものが江戸時代からあったことに感動。

『浮世絵 花ざかり 〜くらしを彩る江戸の華〜』
期間:2005年1月22日(土)〜2月27日(日)
場所:たばこと塩の博物館
入場料:100円(安い!)
  

2005年01月22日

太田記念美術館名品展

喜多川歌麿原宿の太田記念美術館『開館二十五周年記念 太田記念美術館名品展』を見た。(書くのが遅れたが、唐招提寺展より前に見ている)

今回、展示されているのが「浮世絵の初期から終焉に至るまでの代表作品を網羅した肉筆画・版画・版本・扇」ということで、見逃すわけにはいかなかった。葛飾北斎、歌川広重、喜多川歌麿、東洲斎写楽といった有名どころはもちろん、奥村政信、鈴木春信ら重要な浮世絵師が目白押しのファン垂涎の企画展となっている。

私の浮世絵に対する興味は広重や北斎の風景画が中心で、美人画などはさほど関心がなかった。ところが、見始めたら今回展示のほとんどすべてが素晴らしいので驚いた。江戸の美人画なんてどれもこれも同じような顔をした下手な絵という印象が強かったが、どういうわけかどれもこれも面白い。まったく認識を新たにしてしまった。

いろいろな理由が考えられる。名品が集まっているということもあるだろうし、実物は書籍の中の複写とはまるで違うということもある。こちらの心の準備もできてきたのかもしれない。

歌麿のアップの美人画、写楽の役者などの人物画。どれもよい。とにかく見てよかった。大満足。

※上の画像は喜多川歌麿の「五人美人愛敬競 兵庫屋花妻」

お土産に買ったのは明治時代の小林清親(きよちか)のポストカードという渋いチョイス。じつは清親を特集した雑誌を持っていて、実物を見たいと以前より思っていたのだ。やっぱり実物はいい。サイズが大きいし、リアル感というか、画面が迫ってくる感じがある。

この名品展は1月と2月では展示内容を変える前編後編構成となっている。2月も行く予定だ。

割引券のページ…プリントして持って行くと入場料が安くなります。

小林清親
※お土産に買った小林清親の「東京新大橋雨中図」

  

2005年01月19日

唐招提寺展

唐招提寺、盧舎那仏上野の東京国立博物館で開催中の『唐招提寺展』に行ってきた。

律宗の総本山である唐招提寺(とうしょうだいじ)の金堂を解体修理するために、現在その中にあった仏像などが外に出されている。それらが今回東京の博物館にまわってきている。サブタイトルに「国宝 鑑真和上像と」とあるようにこのふたつの国宝が目玉となっている。

盧舎那仏(るしゃなぶつ)も見事だが、それを護持する四天王立像(してんのうりゅうぞう)がかなりいい。こちらも国宝で、力感あふれる造形はとても魅力的だ。とにかく見ほれてしまう。これに梵天立像(ぼんてんりゅうぞう)と帝釈天立像(たいしゃくてんりゅうぞう)のふたつの国宝を合わせてみれば、かなりの満足感がある。

仏像にはさして興味がなかったが、今回こららを見て認識を新たにした。それはあくまでも美術的な意味であって、仏教における仏像の意義は今でもあまり認めていない。

鑑真和上(がんじんわじょう)は中国の高僧で、何度も渡航に失敗しながら日本にやってきて仏教を教授し、唐招提寺を建立した人だ。その座禅する姿を再現した鑑真和上坐像はやはり今回一番の目玉だろう。正面からまじかで見ていたら、ありがたくて涙が出そうになった。日本最古の肖像彫刻だそうだが、その顔にはとてつもなくリアリティがある。精神的に深い表情というのだろうか。すーと引き込まれるような感じがする。

他にも国宝は多数来ている。出品目録で数えたら27もあった。といっても、多くの瓦が含まれていて、これらは古いだけでどうでもいいという印象。面白かったのは隅鬼(すみおに)だ。屋根を支える役目と魔除けの役目があるそうだ。正座した姿勢で頭上に柱を受けるというすごいシチュエーションを見事に体現している。その姿がけっこうチャーミングで気に入った。

さらにありがたいことに東山魁夷(ひがしやまかいい)の襖(ふすま)絵が大量に展示されている。これは以前テレビで見たときに一度見たいと思っていたもので、思わぬ形で実現してうれしかった。

今回は来なかったが、あの巨大な千手観音立像をぜひ見たかった。
  

2004年12月23日

ヴォルフガング・ティルマンス展『Freischwimmer』

東京オペラシティのアートギャラリーでやっているヴォルフガング・ティルマンス展に行ってきた。

最初のふたつの部屋では写真を見ながら、「これは何が写っているのだろう」と考えてしまった。すぐに認識できないものを提示するのは現代美術の発想。だからこれはきっとアートだ。

なにが写っているのかわからない被写体は、たとえば窓際に置かれたいくつものビンとよくわからない小物。窓枠からすると古そうなアパート。簡素であってちょっとしゃれているような雰囲気。いい具合の光。ティルマンスの部屋なのか。しかし、個人の部屋のようにも見えない。いろいろな小物があるけれど、なぜそれが窓際にあるのかがわからない。そういうわからない印象の総体として存在する写真。

絵の具を置いた上に水を入れたような写真。淡い色だけの写真。誰かが脱いだ服。異様に大きい流しによくわからないものが置いてある。

しばらくしてアトリエのようなところを写した写真が出てきた。複数の人間が利用しているみたいだ。ああ、そういうことか。と少しだけ解釈ができる。

ティルマンスはアーティストと一緒に作業をしているのらしい。そして影響も受けているのだろう。色調の好みが統一性をもたらしているが、それがなんだと言えばなんでもない。

簡単に分類整理できないぞという意思も感じる。それはゲイの両義性にも通じるのか。

鳥瞰図、写真に何かを上書きしたかのような細工がしてあるもの。ホモセクシャルな写真。金玉の裏側。民家の上を飛ぶコンコルド。おそらく撮影順に並んでいればわかりやすくかったのだろうが、とりとめがない。

世界で評価されているそうだ。繊細な美などと解説に書いてある。そういう面もある。ちょっとひかれるものもある。でも、そう簡単にはだまされないぞとも思う。その微妙さがティルマンスの印象だ。

Freischwimmerは自由に泳ぐ人という意味らしい。

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2004年12月16日

写真展: 明日を夢見て

東京都写真美術館でやっている『 「明日を夢見て」〜アメリカ社会を動かした ソーシャル・ドキュメンタリー』を見てきた。

おもにアメリカ社会の影の部分である貧困をとらえたドキュメンタリー写真を集めている。素晴らしい写真展だった。

ジェイコブ・リースがとらえたニューヨークで暮らすヨーロッパ人移民たちの貧困にあえぐ姿。
ルイス・ハインがとらえた過酷な児童労働の実態。
ウォーカー・エヴァンズ、ドロシア・ラング、ベン・シャーンが記録した農民の惨状。

ここまでの内容はもう圧巻。一番手のジェイコブ・リースから写真の写実性、記録性による写真の力をまざまざをみせつける。写真家の技量の高さは言うまでもないが、写真の特性がよく生かされている。

意外だったのはルイス・ハインという写真家がうますぎること。美的センスがあるので、悲惨な児童の写真に美がやどっている。ドキュメンタリーという枠をはずしても十分成り立つ写真がいくつもあった。

ウォーカー・エヴァンズのきびしい視線の中にある物質的美意識。ドロシア・ラングの悲惨のポエジー、ベン・シャーンの生き生きとしたスナップ技術もなかなかのもの。写真集でしか見たことがない名作を直接見られた感激もある。

ここまでが主な内容か。あとはベレニス・アボットが摩天楼などを写した『変わりゆくニューヨーク』、写真家集団『フォトリーグ』によるソーシャル・ドキュメンタリーのいろいろな写真があった。アボットは好きだけど、貧困写真の後に見ると迫力がなくなってしまう。

すごいお薦め。

タイトルの「明日を夢見て」は内容に合っていない。その後、状況が改善されたとしても被写体になったひとたちは悲惨の中に死んでいった人が多いはずだ。
  

2004年12月07日

フィレンツェ−−芸術都市の誕生展

『若い女性の肖像』アントニオ・デル・ポッライオーロ

数日前に上野の東京都美術館でやっている『フィレンツェ−−芸術都市の誕生展』に行って来た。

テーマはフィレンツェという都市であり、「このような建築物、絵画、彫刻、金工、織物、科学がありました」という紹介がコンセプトなので、歴史的興味を持っていないとあまり楽しめないかもしれない。私には知識がないので、今ひとつだった。予備知識もないのに見てしまったのは、散歩の終わりが上野だったから。

個々の作品という点では見どころはあまりない。ポスターに使われているアントニオ・デル・ポッライオーロの『若い女性の肖像』もよかったが、普通の美術展ならこれは小物だろう。ボッチチェリの『婦人の肖像』も悪くなかったけど、感銘というほどのものは受けなかった。ミケランジェロの小さなキリスト像もあった。いいんだけど、サイズからして小さい。とにかく「これは」という見どころにかける。

とはいえ、さすがに複数の分野からの出展なので飽きることもなかったし、「なるほどねえ」と教養のために見る価値はあるようだ。昔の絵画の塗り方や描写の仕方とか細かい部分での面白さはあったし、本の装丁、挿絵なども面白い。歴史を知らないものは細部を見ていくしかないし、そうやって見ていけば美的経験の蓄積にはなる。

ひとには薦めない。
  

2004年10月19日

安井仲治写真展の感想

Nakaji先週の金曜日に渋谷区松涛美術館で開かれている『生誕百年 安井仲治 写真のすべて』を見てきた。



安井はさまざまなタイプの写真を撮っていた。

わざとボカして絵画調にしたピクトリアリズム写真。当時の流行でただやってみたということか。写真が描写性を捨てることに積極的な意義はないと思われる。

どうということもない被写体をあれこれならべてそのコンポジションや視覚的な面白さを狙った作品が多数あった。これは面白いようなつまらないような。今でもそういう発想の写真はよく撮られるがなんで写真でそれをする必要があるのだろうか?

とにかく全体を見るといろいろなことを試した人だということがわかる。

私が面白く思ったのはスナップ写真だ。

「路傍閑話」では老人が二人、縁側に腰掛けている。そのそばには二匹の犬が伏せている。この写真、やけに力があった。構図や明暗のコントラストも見事だが、老人二人の顔が不気味なほど原日本人。この顔には森山大道のぞっとするような初期作品のテイストがある。

町をちょっと遠めから撮った2枚もよかった。バス停で待つ人々の様子がまるで当時の人間標本のように見える。塔のような建物の前を人々が歩いている写真は不思議な味があった。見慣れない町風景の現実性。

「神は愛なり」と看板が掲げられた教会から太鼓をもって出てくる男の写真。布教活動にでも行くのだろうか。

道をスーツ姿で道の真ん中を颯爽と歩く男、すれ違う和風の女性二人。この写真はとりわけ面白かった。女性は二人とも会釈をしているように見える。当時(1930年代)の男女の街中での態度の違いがよく出ているようだ。この写真の画面右には八卦の看板が見える。

安井仲治のフィルムは戦火で焼けてほとんど残っていないそうだ。今回展示されていたプリントも昔のものがほとんどのようで状態は悪い。もっと他にも面白い作品はあっただろうに、惜しいことをしたものだ。

平日の昼間とはいえ、ほとんど客がいなかったのは寂しい。

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2004年10月15日

日本の美「琳派」展2004

日本橋三越で開催された『日本の美「琳派」展2004』を見てきた。

先日まで東京国立近代美術館でやっていた『RIMPA展』とは違ってこちらは純和風。正系の琳派のみをとりあげるものだ。大作は少ないし、派手な作品もあまりない。かなり地味な印象を受けた。

とはいえ、見るべき点はある。俵屋宗達の作品が比較的多かったのでその源流からじっくり味わえる。あらためて宗達の作品を見ると、派手さと渋さの微妙なバランスが素晴らしいことに気づく。派手さの中の渋さ、渋さの中の派手さ。『RIMPA展』では派手な作品の印象にかき消されてしまったが、今回は宗達のこのバランスが再発見できた。

もしかしたら画材の金泥、銀泥が経年劣化でこのような渋さをかもし出しているのかもしれない。このあたりは知識不足でなんとも言えない。

ちなみに金泥、銀泥とは粉末状の画材のことで「どろ」ではなく「でい」と読む。金箔を使うよりも自由度が高いのだろう。

他に面白かったのは、中村芳中(ほうちゅう)だ。短冊に花の絵を描いたものがまるで最近の花写真ブームのさきがけのようで驚いた。しかし、はっきり言ってうまくない。ヘタウマの味わいだ。個性的なデザインセンスを見せている作品もあった。これがヘタウマ現代風で面白かった。全体的に宗達の手のひらの中にあるような作品が多い琳派にあって芳中の個性は際立っている。

10月17日まで。

  

2004年10月01日

生誕百年 安井仲治 写真のすべて

写真展『生誕百年 安井仲治 写真のすべて』

a0944f35.jpeg会場: 渋谷区松涛美術館
    東京都渋谷区松涛2−14−14 京王井の頭線神泉駅下車徒歩5分
会期: 2004年10月5日(火)〜11月21日(日)
    午前9時〜午後5時(入場は4時30分まで)
    休館日:10/12, 18, 25, 11/1, 4, 8, 15
入場料:一般300円、小中学生100円

photo by 安井仲治

写真美術館でチラシをもらってきた。

安井仲治は主題よりもどう写すかに関心があったようだ。抒情を排したような抽象的表現の写真を撮った人という印象がある。ぜひ行こうと思っている。

「日本の写真は、安井仲治という、素敵な父を持っているのです。」森山大道


松涛美術館「生誕百年 安井仲治」

プリント担当のラボテイク