タイトル一覧

書評:CAMERA magazine カメラマガジン―いいカメラは人生を楽しくする | 書評:ナショナルジオグラフィック プロの撮り方 | 書評:旅するカメラ2 | 書評:だれでも簡単 デジタルカメラ プロの使い方 | 書評:僕とライカ/木村伊兵衛 | 書評:女王陛下のロンドン/ハービー山口 | 書評:旅するカメラ | 書評:デジカメだからできるビジネス写真入門 | 書評:レンズの向こうに自分が見える | 書評:<パリ写真>の世紀 | 書評:下町純情カメラ/大西みつぐ | パリの浮世絵 アンリ・リヴィエール |

2006年04月02日

書評:CAMERA magazine カメラマガジン―いいカメラは人生を楽しくする

『CAMERA magazine カメラマガジン―いいカメラは人生を楽しくする』(出版社:判佝納)

ムック本でこのシリーズで2冊出ているようだ。

カメラ雑誌を「若い女性向け」←→「オヤジ向け」の線上に配置するとこのムックはややオヤジ寄り。カメラではローライ、ライカ、ニコンなんてのがでかい顔をしているし、フィルムはモノクロが半分を占める。流行を気にして、ポラロイドとHOLGAを紹介しているところが物欲しげだ。

内容はなかなか。写真の質もまずまず。すごくいいのも混じっている。
  

2005年01月21日

書評:ナショナルジオグラフィック プロの撮り方

『ナショナルジオグラフィック プロの撮り方―傑作写真はこうして生まれる』(著者:ピーター・K. ブリアン, ロバート カプート,出版社:日経ナショナルジオグラフィック社)

本書は大きく三部から構成されている。

最初の「撮影のための基礎知識」ではカメラ、レンズなどの機材、構図、光などの写真を構成する要素についてひと通りの知識を与えてくれる。網羅的に書かれているので、長く写真を趣味としている人も知らないことがけっこうあるかもしれない。

続く「被写体の世界」では、風景、人物、建築物、祭り、パレード、スポーツ、クローズアップ撮影(接写)、夕景と夜景などの被写体別の撮影のポイントを解説している。過不足なくコンパクトにまとめてあるのはさすがナショナルジオグラフィックだ。いろいろな被写体にチャレンジしたい人には最適だ。

最後の「特殊な環境での撮影」では、水中での撮影、動物、航空写真、冒険といかにもナショナルジオグラフィックらしい状況、被写体の撮り方を解説している。普通の人が役立てるチャンスはほとんどないかもしれないが、たんに読み物として楽しめる。

その他にところどころにナショナルジオグラフィックで活躍する第一線のプロカメラマンのインタビューがあり、カメラマンからのアドバイスがまとめてある。こういう話はなかなか聞けないので貴重だ。

全体によくまとまっていて、中身も濃い。初心者だけでなく、中級者以上にも役立つ一冊となっている。これから写真をはじめたい人にはとくにお薦めだ。


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2005年01月03日

書評:旅するカメラ2

『旅するカメラ2 畔幻法戞陛鷲瑤気箸襦判佝如

『旅するカメラ』の続編。二匹目のドジョウ狙い。

エッセイはあいかわらず面白い。自分なりのこだわりで撮影に臨む姿に好感が持てる。

前回が駆け出し当時の苦労話が多かったのに対して、今回はプロになって落ち着いた感じのエッセイが多い。ハービー・山口、田中長徳、森山大道についての話題もある。御巣鷹山の飛行機事故に取材にいったときの話では大事件の現場の雰囲気も伝わってくる。現場はきびしい。

掲載されている写真がつまらないのは残念。

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2004年12月18日

書評:だれでも簡単 デジタルカメラ プロの使い方

『だれでも簡単 デジタルカメラ プロの使い方』(ロブ シェパード、日経ナショナルジオグラフィック社)

デジカメを利用する上で知っておきたいことをまとめた概説書。

デジカメの特質、パソコンへの取り込み、レタッチ、プリントまでまんべくなく取り上げている。しかし、実用的なノウハウまで書かれているわけではないので、実際に利用する際には別の書籍が必要になる。

そつなくまとまっているので、これからデジカメに取り組みたい人にはいいかもしれない。

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2004年12月08日

書評:僕とライカ/木村伊兵衛

『僕とライカ 木村伊兵衛傑作選+エッセイ』(木村伊兵衛、朝日新聞社)

写真家、木村伊兵衛のエッセイと写真を収めている。

写真は少ないけれど、傑作選とあるように代表作を収録してあるので、どんな写真を撮った人かわかる。日本の代表的写真家にしては地味で印象の薄い写真が多く、拍子抜けするかもしれないが、木村伊兵衛はこういう「味」なのだ。

エッセイはあちこちに発表しているものを集めている。「私の写真生活」では、カメラとの出会いからプロになり報道写真を志すまでが書かれている。海外の写真の潮流の影響を受けて写真への考え方の変化するところなどは日本の写真史的に面白い。

「パリで会った彼の印象 アンリ・カルティエ=ブレッソン」はブレッソンに親切にしてもらったことを長々と書いているが、こちらが読みたいのはブレッソンがどんな撮影方法をとっていたのか、どんな理論を持っていたのか、だ。期待はずれ。

それとは逆に「ヨーロッパ撮影記・パリにて ロベール・ドアノー」ではいかにドアノーが町の人々に受け入れられていたかを証言していて興味深い。ドアノーは庶民の代弁者であり友達であり、特別な存在として厚遇されていたらしい。

最後の対談で土門拳が木村をけっこう持ち上げていたのは意外だった。喧嘩別れしているので、もっと険悪なムードかと思った。

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2004年12月04日

書評:女王陛下のロンドン/ハービー山口

『女王陛下のロンドン』(ハービー山口、講談社文庫)

写真家、ハービー山口のエッセイ。

文庫本にリンクしてあるが、古い単行本で読んだ。そのタイトルは『CLIMB 「クライム」女王陛下のロンドン』となっている。「努力して今の地位をつかみました」という意味でつけたのだろう。ハービーが成功のきっかけをつかんだのはロンドン時代にミュージシャンの写真を撮っていたことにある。それが日本でありがたがられた。それで「女王陛下のロンドン」なんて副題(現在はメインタイトル)がついている。しかし、女王は何の関係もない。間違って買いませんように。

体が弱く華々しいもの対する劣等感の強かった山口がロンドンで貧乏で孤独な生活をしながら写真を撮り続け、少しずつでも仕事を獲得していく様子がつづられている。成功するのは日本でファッション関係の仕事をしてからだ。ボーイ・ジョージ(ポップスグループ、カルチャークラブのあの人)と仲のいいロンドン帰りのハービー山口ということで売れたようだ。

もちろん実力もあるわけだが、その実力の半分は相手に警戒心を起こさせない風貌や態度にあるのではないだろうか。そのためいい表情の写真が撮れる。こうした傾向に自分でも気がついて人物写真家になっていく過程が本書をよむと理解できる。

編集者の意向なのか構成が時間の流れに沿っていないのは読みにくい。エンディングでクロマティとの交友がクローズアップされているのは、妙な印象を受ける。ハービーは音楽よりも野球が好き。正直ではある。

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2004年12月02日

書評:旅するカメラ

『旅するカメラ 畔幻法戞陛鷲瑤気箸襦判佝如

著者の渡部さとるは元日刊スポーツのカメラマンで3年で退職して独立している。カメラマン生活での苦労話や内輪話、ライカやハッセルブラッド、ローライなどのカメラへの思い、撮影技術についてのコラムがならぶ。

読みやすいし、落ち着いた面白さがある。多少なりともマニュアルカメラに関心があって、古いカメラの名前を知っているなら楽しめるかもしれない。

モノクロ写真が何十枚か挿入されている。南の島で撮った写真がなかなかいい。サイズが小さいのが残念。しかし、ニューヨークや江古田を撮ったものはずいぶんと地味な印象だ。いいトーンで焼かれているので、技術的には面白いかもしれない。

印象に残る言葉があった。「自分の好きな光さえ見つけることができたら、なにを撮っても自分の写真になるし、何枚並べても不自然になることはない。」

なるほど。好きな光ってのはあるけど、統一しようと思ったことはなかった。もっと意識的であったほうがいいのかもしれない。

ご本人のウェブサイトに連載されたコラムから選ばれて本書に収められている。写真も見ることが出来るので、とりあえず下記のサイトにアクセスをしてください。

渡部さとる studio monochrome on the web …渡部さとる氏本人のウェブサイト。

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2004年11月07日

書評:デジカメだからできるビジネス写真入門

『デジカメだからできるビジネス写真入門』(田中長徳、岩波アクティブ新書)

デジカメが普及価格になってから、プロカメラマンの仕事が減っているという。それを加速するかのようなプロカメラマンによるビジネス写真入門だ。

田中長徳といえば、ライカやクラシックカメラに関する著作が有名だが、本書ではそういうマニアックな薀蓄は影をひそめ、仕事に役立つちょっとしたテクニックやコツを読みやすい文章で教えてくれている。とくに物撮りの方法などはさすがにプロだ。「あ、なるほど」と思わせる。自分でビジネス写真を撮る必要があるひとにはちょうどいい入門書だろう。

しかし、本書の魅力はそういう実用性以外にもある。さまざまな経験談、裏話をちりばめながら、楽しく読書が出来る。さすがに人気作家だ。軽妙な文章が心地いい。

掲載された写真もけっこう楽しめる。作品として評価できそうな出来のもの、プライベート風のもの、本文に関連した作例。こういうカメラ本も悪くないと思ったが、こういう本は物撮りの仕事がなくなっても食っていける人だから書けるのだ。大多数のプロカメラマンにはつらい一冊だ。

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2004年11月05日

書評:レンズの向こうに自分が見える

『レンズの向こうに自分が見える』(野村訓編著、岩波ジュニア新書)

編著者である野村さんは定時制高校でカメラの実習を教える先生だ。カメラ部の顧問もしておられる。

定時制高校にやって来る生徒はさまざまな問題をかかえている。野村さんは彼、彼女らにカメラ部に遊びに来るようにいい、カメラを渡し、その使い方を教える。すると高校生たちは写真撮影を通して、いろいろなことに気づき、自分自身を発見していく。

高校生自身が撮影した写真や手記が掲載されているので、その内面や作品を見比べることができる。これがなかなか興味深いし、感動的だ。外部から観察して、彼女たちは成長しましたよ、と勝手に言っているのとは違う。等身大の女子高生が見えてくる。

登場する生徒に女生徒が多いのは、女性のほうが自分に関係するものを被写体に選ぶ傾向があるので、自己発見につながりやすいのかもしれない。

彼女たちの成長には、写真コンテストに入賞をすることで自信を得るというファクターも大きく関係しているようだ。むしろ入賞できない場合にどうなるのかが気になってくるのだが…。

こういう写真本は他にはない。自己表現が人間にどう影響するのかを見せてくれる意味で、写真本を超えた貴重な記録ではないだろうか。

高校生のフォトメッセージコンテスト…本書に登場する高校生も入賞しているコンテストの一つ。写真も掲載されている。


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2004年10月24日

書評:<パリ写真>の世紀

『<パリ写真>の世紀』(白水社、今橋映子)



パリを被写体とした写真の系譜を、文学、ジャーナリズム、モード(ファッション)、絵葉書との関連を含めて記述している。なかなかの力作だが、写真批評ではないし、写真の紹介でもないので、そのあたりを理解して読まないと肩透かしを食うかもしれない。

パリ写真はアジェが周縁的(マージナル)な事物を撮影したことをその始まりとする。当時の写真家がまだ地位も低く、外国人や女性でも参入できたために、パリの写真家には外国人、女性が多い。そんな彼らがよく被写体に選んだのが、古い町並み、屑屋、浮浪者、娼婦、貧困者たち。後年の絵葉書写真の甘い雰囲気とはだいぶ違う。

その後、さまざまな写真家や文学、雑誌のかかわりで新しいパリ写真が続々と登場する。その詳細は本書を読んでいただくとして、面白かったエピソードをいくつか拾ってみる。

エルスケンの『セーヌ左岸の恋』には、オランダ、ドイツ、イギリス、日本語版がある。オランダ語版がオリジナルでドイツ語版はその翻訳、それにたいしてイギリス版は内容に手を入れてある。たとえば最後の写真がカットされている。

それは女主人公アンからの手紙で、性病にかかったと知らせてきたものだ。だからあなたにもうつっているかもしれな、と主人公の写真家に知らせてきたのだ。「まー、いずれによせ、どうでも良いことだけれど。」がこの手紙の最後。なんとも投げやりだ。『セーヌ左岸の恋』というロマンチックなタイトルにそぐわない結末なのでイギリス版では削られたのかもしれない。

日本語版はイギリス版からの翻訳なのでこの部分がない。パリ、セーヌのイメージを壊さないためにはそれはそれでよかったのかもしれないが、この写真集(ストーリーっぽくなっている)は虚無的な世界を写しているので、そこだけ削っても仕様がない気はする。イギリス語版編集者の意図を聞いてみたいものだ。

それから、カルティエ=ブレッソンの『決定的瞬間』のフランス語版でのタイトル問題。これは「逃げ腰の映像」「逃げ去るイメージ」などと訳した例が知られているが、今橋が検討したところでは「不意に勝ち取られたイマージュ」が適訳であるらしい。序文の記述が「被写体への接近の仕方に何か非合法の匂いを漂わせている」こともその訳の正しさを証しているようだ。

しかし、これって「盗み撮り」「隠し撮り」によって得られたイメージってことじゃなかろうか。

それから言うまでもなく、ドアノーの「パリ市庁舎前のキス」はモデルを使った「やらせ」だ。それにまつわるエピソードも面白いのだが、私は売上げに関する数字が気になった。ドアノーはこの写真のオリジナルプリントを2万枚売ったそうだ。他に絵葉書2万枚、ポスター41万枚を売っている。複製芸術とはいえ、オリジナルが2万枚とはすごい。

資料を詳細に調べて書かれているので、細部の事実が面白い。なんとなく読むには分厚いし値段も高いが、パリ写真に関心があるなら一読の価値はある。

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2004年10月21日

書評:下町純情カメラ/大西みつぐ

下町純情カメラ』(大西みつぐ、判佝納辧

畔幻砲琉貂。このシリーズは趣味の文庫としてなかなか個性的な本を出している。写真関係が多いのでおすすめだ。


大西みつぐさんの本を読むのは4冊目(写真集もふくむ)。私は大西さんの『はじめての一眼レフ』(講談社現代新書)でカメラの基本を覚えた。そういう意味では書物上のお師匠さんということになる。

本書は、下町の写真の間に大西さんのエッセイがポツポツと挿入されている体裁。写真はどちらかというと平凡ではないだろうか。写真集『遠い夏』のような不思議な感覚の写真はあまりない。そのぶん本来の雰囲気を大切に写しているわけで、これはプラスに評価したい。雑誌でよく見るキレイな東京しか知らない人にはびっくりするような古くてちょっと貧しい東京がそのままの姿で写っている。

エッセイでは庶民派というよりも下層階級出身であることを明確に述べている。裕福でない家庭の一人っ子の思い出の中で、カメラとの出会い、下町散歩への萌芽が語られている。

大西さんらしい個性のよく出た一冊といえる。

はじめての一眼レフ』(講談社現代新書)…私が初めて読んだカメラ本。
デジカメ時代のスナップショット』(平凡社新書)…私が読んだ大西本の2冊目。内容はあんまり評価しない。
遠い夏―大西みつぐ写真集』(ワイズ出版写真叢書)…大西節炸裂の写真集。これがわかる人はいい目をしている。

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2004年10月06日

パリの浮世絵 アンリ・リヴィエール

c0bf1152.jpeg<パリ写真>の世紀』(今橋映子、白水社)を読み始めたところだ。

冒頭にアンリ・リヴィエールの話が出てくる。「エッフェル塔三十六景」というリトグラフを描いた人として知られているが、なんとリヴィエールはこのリトグラフを描く前にエッフェル塔を写真に収めていたのだそうだ。彼のリトグラフと同じ構図の写真が本に掲載されている。36枚すべてがこのようにあらかじめ写真に撮られているのかどうかは不明だが、これは面白い事実だ。

もちろん「エッフェル塔三十六景」は北斎の「富嶽三十六景」の直接の影響下に作られたものだ。大胆な浮世絵の構図を写真にまねてリトグラフにする。これまたリヴィエールは大胆なことをしたものだ。

ちなみに「エッフェル塔三十六景」はその一部を美術展で見たことはある。なんとか画集のような形で手に入らないかと探している。

左上の絵はアンリ・リヴィエールのリトグラフ「エッフェル塔三十六景」のひとつ。